英語で研究論文を書く上で知っておくと助かることは、実は山のようにある。ここでは、その中でも基本的でかつ超重要なことを、あまり知られていないレベルまで深掘りしつつ、初心者向けに5つのステップを連載する。
英語論文を書くときのハードル
英語論文を書くときに直面するハードルとして、以下の3つの問題が考えられる。
英語力の不足
論文の構造に対する理解不足
英語の論理に対する理解不足
とかく英語力が不足しているから書けないと思いがちだが、実は残りの2つの方が根本的な問題であったりもする。ただ、その問題の重要性に気づいていないだけなのだ!実際、英語力の不足は、それほど大きな問題ではない。ましてや、TOEIC点数など何の関係もない。
初心者のための5ステップ
上記の3つのハードルを念頭に、ここでは、英語論文初心者が、最初に注意すべきこと、習得すべきことを、右図の5つのステップに分けて解説する。是非、参考にしよう!
論文の構造を学ぼう
会話をするときに、英語力(主には語彙力)はかなり重要である。それは、リアルタイムで反応することが必要だからだ。しかし、論文を書くときには、いくらでも調べる時間はある。そうすると重要なのは、何を書くのか、どのように書くのか、を理解することだろう。つまり論文を熟知していることこそが、圧倒的に重要なのだ。
論文について熟知するためには、お手本となる論文を集めて日頃から研究することが必要だ。内容を理解するためだけに、論文を読んではもったいない。自分ならどのように論文を書くのかを常に意識しよう。もちろん、そのためのコツは存在する。どのようなことがポイントとなるのかについては、以下の記事を参考にしよう。
英語の論理展開を学ぼう
論文執筆において、次に重要なのは論理性である。とかく日本語の表現は、英語に比べると論理性が欠如している。この点を十分に意識することが必要である。「これぐらいは説明しなくても分かるだろう」というレベルが、日本語と英語とでは大幅に異なるのだ。そのため、日本語と同じ感覚で英語論文を書くと、極めて論理性に乏しい文章になる。
このような日本語と英語のギャップを埋めるために、英語論文を書くときは、慎重に論理展開を行わなければならない。論理とは因果関係である。一文たりとも、因果関係の欠如があってはならないのだ。
論文特有の英語表現を学ぼう
英語論文を書くときによくある間違いは、頭で考えたことをそのまま文章にしようとすることだ。英語で論文を書くということは、日本語で考えたことを、当たらずといえども遠からずという英語英語表現に変換する作業である。述べたいことをかみ砕いて、英語論文のスタイルに合わせて組み立てることが必要なのだ。そのためには、論文でよく使われる英語表現を見つける方法を考えておかなければならない。
文法力を鍛えよう
論文では、文法的に正しいことが絶対条件である。そこで、英語論文執筆のための文法力を鍛える方法として、文の構造分析を行うことをお勧めしたい。文の構造分析を行う際には、ちょっとしたコツがあるので紹介したい。
関連論文を分析しよう
英語論文の書き方を学ぶためには、実際に書いてみるのがよいと思う人が多いだろう。しかし、簡単に書いてみることができないのが研究論文だ。確かに「論文もどき」なら書いてみることができるが、それでは、深い理解には至らない。はじめて研究論文を書く際には、全精力をつぎ込んで、自分史上最高のパフォーマンスを発揮しなければならないのだ。多くの人に取って、学位を取得するための正念場だろう。そのため、簡単には練習はできない。そこで、実践してもらいたいのが、関連論文の分析だ。
まとめ
今後、翻訳ツールなど様々な便利なツールが普及し、初心者はますますそれに頼るようになるだろう。しかし、だからこそ、英語と日本語の違いを理解し、英語らしい論文を書けることの重要性は増していくはずである。それは、これまでの暗記にたよる英語力とは異なり、英語のロジックの理解に基づくものになるに違いない。更に言えば、英語論文執筆は、論理構築の方法を学ぶ機会と言ってもよいだろう。
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